お客様満足第一を掲げている企業は多い。一方、従業員満足第一だといって憚らない企業もある。
今日は、サービスと満足の関係について整理してま~す。
「お客様があっての我社だ!」
お客様から御贔屓いただいて、自社の製品を買っていただたり、サービスをご利用いただいたりした結果として、売上が立ち企業は成り立っている現実からすると、お客様満足第一である。
三波春男さん「お客様は、神様です!」は、もう、お笑い芸人のものまねでしか知らない方も多いとい思うが、このことを端的にあらわしている。しかし、従業員が増えてくると、お客様満足第一の考え方や行動の徹底が難しくなる。
「従業員が満足していないで、どうして、お客様が満足をできるサービスが提供できるのか?我社では、従業員満足が第一で、お客様満足がその次だ!」と一貫しているのは、サウスウエスト航空のCEOのハーフ・ケレハーだ。
「我社のサービスに満足いただけないお客様は、他社の飛行機を利用していただいて結構、バイバイ!」
と、冗談だとは思うがちょっと誤解を招くようなことを言ってまでも従業員満足が第一であることをメッセージしている。
公認会計士の 久野 康成氏は、著書「あなたの会社を永続させる方法」の中で、
“過度の従業員志向は、コストアップにつながります。コストアップは、販売価格に反映され、顧客に転嫁されることになります。販売価格に転嫁されなければ、株主に転嫁されるかもしれません。ここに、従業員志向の限界があります。と書いている。
確かに、おっしゃりたいことはわからないでもない。しかし、サウスウエスト航空の賃金は、業界の中では低い方だ。更に、従業員は、パイロットが飛行機を降りたら機内清掃をするなど、徹底的なコストダウンを図り、他のアメリカの航空会社の半分近くの航空運賃を実現している。
従業員満足=給料アップ及び福利厚生向上⇒コストアップと捉える見方は、少し狭いのではないかと思う。
従業員は決して、お金や条件だけで満足するのではない。仲間と一緒に働き共に喜ぶ。仕事が面白い。様々である。
私自身は、優先順位を付けること自体がピンとこない。両方重要だと思う。もう、20年近く前の話で時効だと思うが、現ローソン(当時、ダイエーコンビニエンスシステムズ)は、「マチのほっとステーション」といったキャッチで、小泉今日子さんや沢口靖子さんなどを起用し、大々的なプロモーションを行った。その際、TVCMは大手広告代理店が担当し、内部のコンサルテーションや教育を私の所属会社で実施いただいたが、当時の社長の松岡さんは、口癖のように言っていた内容を今でも覚えている。
松岡元社長と、当時の営業担当であった私の会話の一部は以下のようなものである。
「お仕事をいただくのは、ありがたいのですが、短期で辞めていくパート・アルバイトの方に、何でこんなにお金を掛けるんですか?」
「その通り、店舗で働くクルー(パート・アルバイト)は、主婦や学生さんで、早い人たちで数か月で辞めていく。でも、その働いているわずかな期間でも、少しでも嫌な思いをしたら、もうそのお店で買い物をしたいと思わないだろ!働いている人も、みんなお客様なんだ!打算だけでやっているのではないが、自分が経営している間に一人でも多くの働いてくれた人に満足してもらえるのであれば、多少、お金がかかったっていんだよ。・・・」
「そうですか?じゃーまた、仕事下さい」
「バカ、しっかりいい仕事しないと、もう仕事出さないぞ!」
又、20年以上前とは異なる状況が今あると思う。以前は、お客様満足を優先して考えていても、従業員は文句を言わないど一生懸命仕事をした。しかし、今は、転職が当たり前の時代になり、従業員のことを考えない会社は、従業員の方から見切りをつけられてしまう。お客様が企業から提供される商品サービスに対する見る目も厳しくなっている。そうした中、従業員が満足していなかったら、感動するサービスを提供することは不可能だからだ。高いレベルの顧客価値提供競争の中では、従業員満足は不可欠になっているのだと感じる。
いずれにしても、全ては、繋がっている。
ヘスケット、サッサーら学者は、
・内部サービス品質が高まると従業員は満足する。
・従業員が満足すると従業員の生産性や定着率が上がる。
・生産性や定着率が上がると、顧客サービス価値が高まる。
・顧客サービス価値が高まると、顧客ロイヤリティーが向上する。
・顧客ロイヤリティーが向上すると、売上や収益性が上がる。
といった好循環になるといい、サービスプロフィットチェーン、バリュープロフィットチェーンの考え方をメッセージした。
サービスと満足度の関係は深い。さらに、お客様満足と従業員満足の関係も深い。全部繋がっている。そして、結果として売上や利益に繋がる。(=⌒▽⌒=)
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