所属会社で、サービスマネジメントの公開講座をメインで担当していたのが、数年前、経済産業省の外郭団体の全日本能率協会資格講座にといった話になり、テキスト作成も行ったが、サービスの品質を測定するのは本当に難しい。
ざっくばらんにサービスクオリティー(サービス品質)とその測定について考えてみたい。
サービスの品質は、モノの品質と異なり様々な性質がある。
モノであれば不良品は明確にわかる。故障していて動かない。キズがついている・・等々明白だ。
サービスはそうはいかない。基準が明確でないため測定は難しい。
そのために、なかなかクレームも付けづらい。
では、そうした基準設定が難しいサービスの品質を、どうやって測定したらいいのだろうか?
数日前に書いたルミネをはじめ小売店では、覆面調査をやっているところも多い。
確かに、販売スタッフには一定の緊張感を生むし、高い点数が付き表彰されれば動機づけになる。
有効な方法の一つであると思うが、限界もあると思う。
覆面調査の調査員は、あらかじめ設定されたチェック項目が、実際の現場で実施されているかのチェックを行う。YES NO や 5段階で評価するのだが、問題だと思うのは評価の切り口である。
実際実施されている評価表を何種類も見たが、正直、自分自身では有効とは感じなかったケースも多い。
疑問に思った点としては、複数の店舗が入っているショッピングセンターであっても、ラーメン屋と高級フランス料理のチェック項目は同じであるのは明らかにおかしい。
定量化したい気持ちはわかるが、かえっておかしなことにならないかと思うこともある。
例を挙げると「お客様が来店された際、元気なあいさつをしていた」といった質問があるとする。
まあ、来店時のあいさつは確かに大切だろう。
しかし、本当にお客様はそのしたことを望んでいるのであろうか?
望んでいる場合もあるし、そうでない場合もある。お店のコンセプトによっても違うだろう。
自店に来店されるお客様を想定して、徹底的にお客様視点で考えなければならない。
トヨタ系の「ジェームス」といったカー用品ストアでは、かつて「走り屋」だったクルマ好きの若者を採用している。少し前までお客として店の前にたむろしていた人たちだ。アメリカの「ホームデポ」でも、仕事にあぶれた大工さんや塗装屋さんを採用して売上を伸ばしたのは有名な話だ。
お客様と従業員の共感がお客様の満足を高めているが、点数の評価をするのはできなくはないが難しい。
こうした対応が、サービスクオリティーが低いと言えるだろうか?
個人的には、点数化することもいいが、お客様の声や上司や仲間が褒めるといったことも立派な評価だと思う。
サービスを、ある一定の水準にするには点数評価も有効であるが、感動するサービスは生まれない。
お客様が感動するサービスを実現するには、お客様を楽しませるし従業員も楽しむ、周りも大いに讃えると評価をするような組織文化を根付かせることの方が有効と思う。
ちなみに、家のすぐ前のセブンイレブンの親父さんは、コンビニの看板を掲げる前は元八百屋を経営していた。親父さんの対応を点数評価したら、画一的な評価項目ではあまり高い点数は付かないだろう。
でも、店頭に置いてある野菜や果物の質問をすると、本当にうれしそうに「うんちく」を教えてくれる。
勧めてくれた野菜や果物を買って帰ると、気分もあると思うは本当においしい。
私にとってのサービス品質は非常に高く、お客様歓喜のレベルである。