当時、スターバック社に居たハワード・シュルツは、エスプレッソを主体としたドリンク類の販売を社に提案するが受け入れられなかったために、スターバックスを退社して自分で会社を興した。エスプレッソを主体としたテイクアウトメニューの店頭販売を開始した会社が成功し、その後、スターバックスの店舗と商標を購入した話を聞いた方も多いかもしれない。
その後、テイクアウトと歩き飲みが可能なスタイル(シアトルスタイル)でのドリンク販売は、北米地区全土に広がったシアトルスタイルカフェ・ブームの火付け役となった。日本でも、1997年銀座松屋通り店を第1号店として、あっという間に日本中に出店したのは、ご存じの通りである。
スターバックスのスタッフは、フレンドリーだ。
以前、横浜モアーズ店で、間違えて他のお客様のドリンクに口をつけてしまったことがある。
「御免なさい!」とドリンクを受け取るはずだった方に謝り、
お店のスタッフにも同様に「御免なさい!お金払うから・・」と言ったが、
「結構、おいしいでしょ!お金はいいですから、又、飲んで下さい」と言われ悪い気はしなかった。
電気のコンセントも貸してくれるので、スタバへ行ってパソコンで入り浸りになることもある。
一方、Dコーヒーは全く逆だ!先日、携帯電話の電池が切れて、急ぎの連絡があったので、コンセントを貸してほしいと頼んだが、一切受け付けてくれない。
「規則で決まっています」の一点張りだ。 正直、ムッとした。
しかし、2000年~2003年の財務を比較すると、圧倒的にDコーヒーの方が内容がいい。
財務の比較をして、スターバックスの変革課題を挙げていただいたが、その中で出てきたのが、販売管理費、特に、人件費比率が大きいことである。
そのため、一緒にケースを学んでいた方からは、
「教育投資を押えて応対マニュアルを作った方がいい」
「いや、マクドナルドみたいな応対されたら、スタバじゃなくなっちゃうよ。タバコを吸えたらスタバでなくなると同じだ!」といった様々な意見が出た。
結局「スターバックスをらしさを失わず、経営管理をしっかりしなければならない」とまとまった。
実際のスターバックスのどうしたんだろう?
当時、スターバックスが選択したことを紹介すると、人以外の分母の削減だ!そして、分子の拡大としては業態開発と出店を続けた。具体的には、アメリカ製のこだわった家具の見直しや在庫管理でコストを落とし、直営へのこだわりを持つ者のライセンス契約での出店も決断した。その後V字回復を遂げて成長曲線に乗せている。
慶応大学院 嶋口名誉教授は、
「マニュアルサービスは愚か者のサービスと言われるが、規模の拡大を図る際、サービス品質を一定にするには一つの選択肢である。料亭のように親方の仕事を見て覚えろでは、のれん分けする度に味が悪くなる。いずれにしても、しっかりした考えを持って、サービスをデザインしなければいけない」と言っている。
マニュアルでは、人件費の削減になるかもしれないが、お客様に支持されるブランドは形成されない。
理念だけでは経営はできないが、経営管理だけでもお客様もスタッフもワクワクしない。
つまり、バランスを考えて、よく練られた取り組みが重要だということだ!
ちなみに私は、スタバが大好きです。