秋葉原の駅で下車すると、相変わらず人通りは多い。こうした風景を見ていると、2年前、悲惨な無差別殺人事件があったが、被害に遭われた方に掛ける言葉も探せない位、あってはならないことだったと改めて感じる。
秋葉原が大きく変わったのは、やっぱりヨドバシカメラができてからだろう。昔ながらの小さな電気屋さんもあるが、大きなビルも立ち並ぶようになり、街の雰囲気がずいぶん変わった。依然と比べるとずいぶん近代化された雰囲気になったが、ヨドバシカメラができて周りの電気屋さんはプラスだったのだろうか?それとも、マイナスだったのだろうか?
一瞬、自分の所と同じような商品を扱っていて、さらに、大きな床面積で出店されると、当然、脅威に感じる。しかし、よくよく考えてみると、必ずしもそうとは限らない。大型店も含め多くの店舗が集積することにより、電気街は発展しお客さんが遠くから足を運ぶことになる。つまり、その街は、集積地としての顧客価値を高めることになる。そういった意味で、単純に、競合だと決めつけるとかえって、機会を逃してしまう。
JR東日本は、上野をかわきりに大宮、品川、立川といった駅中開発を進めて駅の中の様子がずいぶん変わってきた。そのため、お客様が駅の外に出ないから、駅周辺の商店街が大変だという。しかし、見方を変えれば、イオンその他の郊外店にお客様を奪われていたのを、もう一度、駅周辺に引き寄せていると考えると必ずしも競合とばかりは言えない。
その駅に補完的な価値をを持たすことができれば、全体として秋葉原の電気街と同様に集積地としての顧客価値を高めることになる。こうした考え方は、ゲーム理論として戦略論の世界で90年代から言われるようになってきた。競争戦略だけでなく、顧客からの価値や補完といったことを考えると見えてくる新しい視点がある。