時々、早起きをして横浜から埼玉へ車を飛ばすことがある。平日に埼玉まで足を延ばすのは、娘の診察のためである。なぜ、平日仕事を休んでまで、わざわざ遠くまで足を運ぶのには訳がある。以前、自分や母親が病気の際、複数の病院を廻ったことがある。その際、びっくりしたことがあるためだ。具体的には、複数の病院を廻り違うドクターに診てもらうと、診立てがそのドクターにより違うのである。
母親が肺がんになった際、あるドクターは、乳がんからの転移であると言うし、違うドクターは、乳がんからの転移ではないと言う。又、治療についての考え方も、それぞれ違う。あまりに違うので、私が信頼する元東大病院の部長であり、現在、独立されている掛かり付けのドクターに、率直に「なぜ、こういうことが起きるのか」と聞いてみた。あくまでも、その先生の見解ではあるが、経験の差ですねとあっさり言われて納得した。その先生に言わせれば、机の上での勉強ではいい治療はできない。手術を1回もやったことがないドクターと、何百回やった経験があるドクターでは、当然、差があるのは素人にでも納得できる。
日本では、医師会が強いせいか医者の経験がオープンになっていない。今後、改善されると予想されるが、現時点では欧米が医者のデスクの上に経験が掲示されていることと比べると、患者には不親切であると思う。
以前、養老猛司さんの講演で、養老さんのお母さんから、「20人位殺さないと医者として1人前にならない」と言われたといったお話を聞いたが、冗談にも本音にも取れるお話で記憶に残っている。
サービスの特質の中で、プロフェッショナルサービスは、サービスを受けた後にも、そのサービスの品質の評価が受けてからは評価できない。それは、専門性の違いの大きさためである。最近では、インターネットを通して、多くの情報を得ることができるが、それでも限界はある。
こうした事情から、遠くまで足を運ぶのである。サービス品質の可視化は100%できないと思うが、可視化する努力は必要であると思う。今日の娘の診察を受け、さすがに、その分野での第一人者であえうと言われるだけの、見識と的確なアドバイスであると感じた。しかし、超一流のドクター以外のサービス品質はわからない。少なくても、欧米並みに情報を開示してほしいですね。
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